タイはシンガポールとの外資系企業のアジア全体を統括するアジア本社誘致合戦のため税率をシンガポール並に下げることを公表しています。
今回はそれに関するITC(International Trading Center: ITC)、IHQ (International Headquarters: IHQ) の恩典を説明しようと思います。例としてタイとシンガポール両方に支社のある会社で両方から給与を得ているケースで説明します。
By: Ivan Mlinaricタイの法律上、普通の法人ですとタイとシンガーポールのグループ会社の両方で働き両国を行ったり来たりしている駐在員の場合、一年でタイに180日以上住んでいるとタイ以外の国からもらった収入であってもタイの収入との合算で所得税をプログレッシブレート(5%からスタートして、最大35%のレート)で計算し所得源泉徴収税を税務署に納付します。
更に年末に年度の収入を再計算してもっと税金を払うか、もしくは税金の過払いの場合は税務署に還付申請し調整します。
シンガーポールで得た収入はシンガーポールで所得税を払ったにもかかわらず、再度タイの収入として計算するため余分な税金分を引いてもらわなければなりません。
この場合はシンガーポールの税務署に同年度に支払った所得税分の証明書を発行してもらうと、タイで合算計算された所得税額から引かれます。
しかし、もし御社がITC(International Trading Center: ITC)か、IHQ (International Headquarters: IHQ) の恩典を認められた場合、毎月の給料分の15%レートでの所得税計算になります。この場合はシンガーポールの収入を合算し所得税を計算する必要はありません。タイのITCかIHQからもらった給料のみで計算します。
例えばタイ法人がITCかIHQになれた場合、駐在員が毎月タイ法人から250,000バーツの給料をもらう時の計算は
250,000バーツ × 15% = 37,500バーツ
となり、この額の所得税を毎月を納付します。
ITCかIHQになるためには条件があります。
1.タイ法人の払い込み済みの資本金が10,000,000THB
2.会計年度末にタイ国内に支払った経費15,000,000バーツ以上
(例えばタイ法人で働いている駐在員・スタッフへの支払い、又はタイの業者に支払った経費など)
3.税務局長が決めた方法や条件の通りに実行している
4.ITC申請後、税務局長からITC承認を得る
5.(IHQのみ)外国及びタイの関連会社に経営サービス、テクニカルサービスを提供している、もしくは関連会社にファイナンシャルマネージメント、経済上の支援をしているなど
詳しい内容は税務署のウェブサイトや関連する法律などを詳しくチェックする必要があります。
ITCとIHQの違いとは簡単に説明するとIHQはITCより範囲が広いです。
IHQ (International Headquarters: IHQ)として承認してもらう場合はタイ法人の事業内容が以下3項目全てに該当する、もしくは1と3が該当,又は2と3が該当すると承認されます。これは申請する時に選択することになります。
1.外国及びタイ関連会社に経営のサービス、テクニカルサービスを提供している
2.外国及びタイ関連会社にファイナンシャルマネージメント、経済上の支援などをしている
3.タイへの輸入なしの第三国間貿易 をしている(貿易は関連会社であっても関連会社でなくてもどちらでもいい)
ITC( International Trading Center: ITC)として承認してもらう場合はIHQの事業内容の3と同じ内容が適用されます。
・タイ法人の事業内容がタイへの輸入なしの第三国間貿易をしている (貿易は関連会社であっても関連会社でなくてもどちらでもいい)
ということはもしタイ法人がタイかもしくは外国にある関連企業(Associated Enterprise)に経営サービス、テクニカルサービスを提供している、又はタイもしくは外国にある関連企業に投資などの経済援助をしている場合、ITCだけの申請ではなくIHQとしても申請が可能です。
更なる詳しいITC、IHQの情報は税務署のウェブサイトを参照ください。
http://www.rd.go.th/publish/26201.0.html タイ語版のみ。弊社では翻訳サービスも行っております。ご利用ください。